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第24回 住宅資金贈与の非課税枠を利用しよう

子供に住宅取得資金を援助する場合、前回ご説明した親の資金提供部分を親の名義にして、子供が資金拠出した分との共有名義にする方法以外には、住宅取得資金を子供に贈与して、子供が自分の名義で住宅を購入するという方法があります。この場合に贈与の方法として、次の2種類が考えられます。

(1)住宅資金贈与の非課税枠を利用して親が子供に住宅資金を贈与する場合

(2)相続時精算課税制度を利用して親が子供に住宅資金を贈与する場合

今回はまず、住宅資金贈与の非課税枠を利用して親が子供に住宅資金を贈与するケースをとりあげましょう。

暦年贈与の場合、年間110万円までは非課税の基礎控除額があります。この110万円については親から贈与を受けても非課税ですが、住宅資金の贈与の場合はこれ以外に直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税という制度があります。この制度は、適用条件がありますが、最高3,000万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となり、適用できれば非常に大きな金額が非課税となりますので十分検討する価値があります。これは、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母)からの贈与により自己の居住の用に供する新築住宅等の購入に充てるための資金、住宅取得等資金を取得した場合で、一定の条件を満たすときは、下記の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となるものです。

1)住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が8%である場合


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が平成27年12月31日まで

省エネ等住宅  1,500万円

それ以外の住宅 1,000万円


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が平成28年1月1日~令和2年3月31日

省エネ等住宅  1,200万円

それ以外の住宅  700万円


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が令和2年4月1日~令和3年3月31日

省エネ等住宅  1,000万円

それ以外の住宅  500万円


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が令和3年4月1日~令和3年12月31日

省エネ等住宅   800万円

それ以外の住宅  300万円


2)住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が平成31年4月1日~令和2年3月31日

省エネ等住宅  3,000万円

それ以外の住宅 2,500万円


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が令和2年4月1日~令和3年3月31日

省エネ等住宅  1,500万円

それ以外の住宅 1,000万円


住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が令和3年4月1日~令和3年12月31日

省エネ等住宅  1,200万円

それ以外の住宅  700万円

上記にありますように、この非課税限度額は、新築等をする家屋の種類ごとにその契約の日によって、また、その契約に係る消費税が8%か10%かによって金額が異なります。たとえば、省エネ等住宅の場合で契約の締結日が平成31年4月1日から令和2年3月31日の場合は、非課税限度額は3,000万円となっています。この特例を使える条件として受贈者が次のすべての要件を満たす必要があります。


 (1)贈与を受けた時に、受贈者は贈与者の直系尊属であること

 (2)贈与を受けた年の1月1日において受贈者は20歳以上であること

 (3)贈与を受けた年分の所得税の合計所得が2,000万円以下であること

 (4)平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で住宅取得資金の非課税の適 用を受けたことがないこと

 (5)自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人からの住宅の譲渡ではないこと、または、これらの人との請負契約による新築等ではないこと

 (6)贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用家屋の新築等をすること

 (7)贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること

 (8)贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその家屋に居住すること、または同日以降にその家屋に遅滞なく居住することが確実であること

この特例を使って、住宅取得資金の贈与をする場合、親の資金力の余裕度合いにもよりますが、典型的には、親が子供の住宅購入資金の頭金を負担して、残額を子供が住宅ローンを組むことにより、子供が自分名義の住宅を購入するようなケースです。たとえば子供が3千万円の住宅を購入したいのだが十分な頭金がない場合に、親の頭金の全部または1部を贈与してもらいます。物件の20%を頭金にするとしますと、600万円を親に贈与してもらい残りを住宅ローンとするようなケースです。通常のケースでは、贈与税は、暦年贈与の基礎控除110万円がありますので、600万円から110万円を控除した490万円に贈与税が課せられますが、この特例を使うことでこの490万円が前述の限度額以内であれば、贈与税は非課税となります。

令和2年11月4日(水)

公認会計士

小林茂夫

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