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第29回 家族信託を検討してみよう

家族信託は、認知症対策として最近注目されてきています。具体的には、たとえば、認知症対策をしたい父親が息子に相続財産を管理してもらうために、信託契約を締結し、父親が認知症になった後も息子が父親の信託財産を管理できるようにする手法です。次のようなプロセスをたどっていきます。


1 信託契約の締結


父親を委託者兼受益者、息子を受託者として信託契約を締結します。この信託契約の締結により次のような効果があります。なお、信託できる財産は、金銭、不動産、自社株式です。


1) 信託した父親の財産は、信託財産となり財産の名義は名目上父親ではなくなります。

2) 信託した財産の名義が変わっても、受益者が父親なので、贈与とは異なり贈与税は

  発生しません。

3) 信託財産から生じる収益は、委託者兼受益者である父親の所得となります。

4) 信託財産の管理、処分権(株式の議決権を含む)は受託者である息子に移ります。 


2 信託期間中の手続き


1) 受託者である息子は、信託財産から生じる収益をいったん受領し、受益者である父親

   に給付します。信託財産からの損益と財産残高を委託者である父親に報告します。

2) 受託者である息子は、毎年信託計算書を税務署に提出します。

3) 信託期間中は、父親は信託財産から生じる収益は、委託者兼受益者である父親の所得

   となりますので確定申告が必要です。


3 信託の終了


委託者兼受益者である父親が死亡すると信託は終了します。信託財産の受益権及び残余財産は相続され相続税課税が生じます。


以上のように、家族信託を利用すると、父親が認知症になったとしても、息子が財産を管理、処分できるので安心です。ただ、実際に家族信託を組成する場合は、いろいろな注意点がありますので専門家と相談しながら進めることが必要です。


令和2年12月3日(木)

公認会計士

小林茂夫

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