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第28回 認知症対策を検討してみよう

相続税対策も重要ですが、認知症対策も同様に重要です。あまり、ご自分が認知症になるかもしれないという意識がないために、どうしても対策が遅れてしまう傾向がありますが認知症になると次のようなリスクがあることを認識しておくことはとても重要です。


1 契約当事者になれなくなるので、不動産等の売却ができず、たとえば介護施設に入居す る資金が用意できなくなるかもしれません。

2 銀行口座が事実上凍結され、まとまったお金の引出しができなくなるかもしれません。 そのため生活に必要な資金が用意できなくなるかもしれません。

3 契約当事者になれなくなるので、配偶者や子供への贈与等の相続税対策ができなくなる かもしれません。

4 会社の経営者兼株主であれば、株主権の行使ができなくなるので、会社の議決権の行使 や会社を売却する等のM&A等ができなくなるかもしれません。


以上から、相続税対策と同時に、認知症対策を進めることが重要だということがわかると思います。認知症への対応はとしては、一般的に以下の2つがあります。


1) 成年後見人制度の利用

2) 家族信託の利用


1の成年後見人制度の利用は、本人が認知症になった場合に配偶者や子供がとりうる手段です。意思決定能力がなくなった認知症の方の配偶者や子供が、認知症の方のためにたとえば契約行為をする必要がある場合、裁判所に成年後見人を任命してもらいます。ただ、成年後見人は裁判所が任命するため、配偶者や子供が希望してもそのとおりになるかどうかわかりません。司法書士や弁護士の専門職後見人が任命されることも多いといわれています。その専門職後見人の成年後見人制度の利用は以下のようなデメリットもあると言われています。


1 専門職後見人は認知症の方の立場を最も重視しますので、配偶者や子供の意見と折り合

  わず、家族と対立関係になる可能性があります。

2 専門職後見人は費用がかかります。そのため相続財産が目減りしていくことになりま

  す。財産額5000万円以下の場合で月額2万円程度、財産額5000万円超の場合で

  月額5万円程度と言われています。

3 相続財産の管理が制約され、使途が制限されます。支出する際には、専門職後見人の了

  解をとることが必要となり、認知症の方の財産を減少させる行為は専門職後見人が了承

  せず支出が制限される可能性があります。


以上のようなデメリットを勘案して、最近注目されているのが、家族信託の利用です。

次回はこの家族信託についてみていきたいと思います。


令和2年11月30日(月)

公認会計士

小林茂夫


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