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第30回 財産をコントロールしよう

相続税対策を検討するにせよ、家族信託の利用を検討するにせよ、ご自分の対象となる相続財産には何が幾らぐらいあるのかを把握しておかなければ始まりません。特に昨今は、平均寿命が延びてきており、自分が存命中にあといくらのお金を使うことができるかも知っておかなければ安心できません。平成元年のデータで、男性の平均寿命は81.4歳、女性の平均寿命は87.5歳となっています。これは平均寿命なので、実際に元気で活動できる健康寿命は、男性が72.1歳、女性が74.8歳となっています。また85歳を超えると認知症になる確率が50%近くになってきます。相続税対策を検討するにせよ、家族信託の利用を検討するにせよ、ご自分が元気なうちに始める必要があります。できれば、70歳になるまでに検討をすませて長い老後に備えましょう。平均寿命が80歳代なので、よく言われることですが、100歳まで生きる可能性は誰にでもあるのです。その備えの第一歩が、現在の財産を把握して財産をコントロールしていくことが必要です。


では、財産をコントロールするには、具体的にはどうすればよいでしょうか?それは「財産目録」を作成するということです。財産の一覧表を作成するということです。昨今は便利な表計算ソフトがありますので、たとえばエクセル等で作成してみましょう。職場で働いている現役時代には、なかなかそのような時間は取れないでしょうが、たとえば65歳で定年退職した後は比較的時間が取れると思いますから、定年退職後は一度はこの財産目録の作成に取り組んでみましょう。特に金融資産と不動産はそれぞれいくらあるかを知っておくことは非常に重要です。相続が発生すると相続開始後10か月以内に相続税の申告をし、相続税を納める必要があります。相続税は原則として現金納付です。現金がなければ、たとえば不動産を売却して現金納付することになりますが、不動産は短い期間ですぐに売れるか不安が残ります。そのため、金融資産の残高を常に把握しておくことはとても大切になります。また、金融資産があまりなければ保険を使用する対策を打つ必要があるかもしれません。


そういう意味から、財産目録といっても実は「金融資産目録」を作成しておくことが重要です。そして、この作成のメリットは、一度作成すると後は更新が非常に簡単だということです。普通の日常生活を続けていると銀行口座は1つか2つでしょう。たとえば、毎月一定の日に銀行預金残高を更新すると先月の残高との差額で1月に支出した金額がわかります。上場株式やその他の金融資産の時価も今ではネットから簡単に入手できますから、毎月1度それらを更新することで、金融資産の時価総額の増減がわかります。金融資産の残高を定期的にコントロールすることで、支出行動に反映することができます。常にご自分の金融資産残高を定期的に把握して、将来の支出計画に反映していくことが、真に財産をコントロールするということになると思います。十分な金融資産があれば安心できますし、もし十分な金融資産がなければどう対応したらよいかを専門家と相談しながら対策を検討することが必要になるかもしれません。


令和2年12月11日(金)

公認会計士

小林茂夫

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