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第22回 遺留分対策は生命保険を使ってみよう

最近の相続法の改正により、遺留分の考え方が大きく変わりました。遺留分というのは、相続人が最低限もらえる財産で、最低限の相続権というべき権利です。遺留分の割合は、直系尊属だけが相続人のときは3分の1でそれ以外のときは2分の1です。 直系尊属は、難しい言葉ですが、父母(おとうさん、おかあさん)、祖父母(おじいちゃん、おばあちゃん)、曽祖父母(ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃん)など直接の祖先の系列にあたる人のことです。それ以外の場合とは、配偶者だけが相続人になる場合とか、子供だけが相続人になる場合とか、配偶者と子供が相続人になる場合とか、配偶者と直系尊属だけが相続人になる場合です。この場合は、遺留分は二分の一になります。兄弟姉妹には遺留分はありませんので注意してください。

相続法の改正により、遺留分は金銭でしか請求できなくなりました。つまり、金銭請求権となりました。改正前は、遺留分減殺請求権といって、財産を遺留分権利者との共有になるだけでした。遺留分の共有部分を取得するにすぎず、遺産分割の抜本的解決とはならなかったのです。たとえば、改正前は、遺留分を請求すると、不動産や会社の株などの財産が共有になってしまいますから、不動産の売却や事業承継の観点からするとなかなかすすまなくなってしまうケースが多かったと思います。それが、民法上、金銭請求権と条文化されました。

そこでこの遺留分の対策として、保険を活用する方法があるのでご紹介します。たとえば、母と子供2人(長男と次男)のケースです。父はすでに亡くなっているとします。母の財産は、現金が2000万円と自宅の不動産が6000万円で合計8000万円だったとします。母は、長男と折り合いが悪く、また、次男が母の面倒をよく見てくれたので母は次男に全ての財産を渡したいと考えています。その場合、長男の遺留分は2000万円(遺留分は8000万円の2分の1で、長男と次男の2人ですので長男の遺留分はそのまた2分の1)となります。 母は遺言書を作成し次男に財産を全部相続させると書きました。遺留分がありますので、この場合、次男は長男から遺留分を請求される可能性があります。遺留分は、金銭請求権ですから次男は、長男から遺留分を請求されたら2000万円を現金で払わなければいけないことになります。

生命保険を活用するとこの金額が大きく変わります。遺留分を少なくさせることができるのです。たとえば、一時払い終身保険(生命保険)という生命保険に入ります。その際、契約関係としては、契約者が母で、被保険者も母で、受取人を次男としておきます。掛け金2000万円を一時払い(一括払い)で支払います。2000万円を支払って、2000万の保険金がもらえる保険です。この結果、母の財産は、2000万円を一時払いしたので6000万円に減少します。さて、この保険に入ってまもなく母は亡くなったとします。次男は、遺言どおり、母の財産6000万円と生命保険で2000万円を受け取りました。長男から、遺留分の請求が来るわけですが、当初の想定では、2000万円であった遺留分は、1500万円に減少しました。次男は、受け取った生命保険2000万円から 1500万円を長男に支払います。これで長男からの遺留分対策は完了です。手元には、現金500万円も残すことができました。これは、遺留分が2000万円から1500万円に減少したからです。

遺留分は、なぜ2000万円から1500万円に減少したのでしょう。これは、受け取った死亡保険金は「相続財産ではない」からです。受け取った死亡保険金は、受取人の固有の財産とされます。つまり、母から相続された財産ではなく、次男固有の財産となるからです。相続財産が2000万円減少した結果、遺留分が500万円減少したのです。このように、生命保険は、財産をもらう人を受取人にしておくと、遺留分を減らすことができます。また、遺留分の請求があった場合に遺留分を支払う原資になるのです。うまく生命保険を使用することで、遺留分対策に活用することができますので皆さんもうまく生命保険を利用してください。

令和2年10月28日(水)

公認会計士

小林茂夫

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