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第13回 暦年課税の非課税枠を活用しよう

相続税対策の一つとして、贈与による対策が使えることがあります。死ぬまでの間に効果的に贈与をすることで、相続時の課税財産を減らせれば結果として相続税を少なくできるケースがあります。ただ多額の贈与には多額の贈与税がかかります。しかしながら、贈与税には非課税枠があり、この非課税枠をうまく利用し、計画的に贈与することで効果的な相続税対策が可能となります。

贈与税の非課税枠の利用については、次のような制度があります。

1) 暦年課税の非課税枠の利用

2) 配偶者控除特例の利用

3) 教育資金一括贈与に対する非課税特例の利用

4) 結婚・子育て資金一括贈与非課税制度の利用

5) 生前贈与加算の非対象者への贈与

6) 扶養義務者間の資金援助

7) 相続時精算課税制度の利用

今回からこれらの制度について、順を追ってわかりやすく、説明していきます。まずは暦年課税の非課税枠の利用について説明します。

暦年贈与とは、ある年の1月1日から12月31日までに行う贈与です。暦年贈与の場合、ある年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によって取得した財産の額が110万円以下であれば受贈者に贈与税は課せられません。この110万円の非課税枠をうまく利用すると効果的な相続税対策となります。

たとえば、毎年110万円を10年間にわたって相続人であるお子様に贈与した場合、10年間で1,100万円の財産を無税でお子様に移転できることになります。またお子様が複数人おられる場合、たとえば3人お子様がおられる場合には、10年間で1,100万円の3倍の3,300万円という多額の資産を移転できることになるのです。このように、年数はかかりますが、暦年課税の非課税枠の110万円を効果的に使用することにより無税の贈与が可能となります。

お子様が1人しかおられない場合でも少額の贈与税を毎年収めることで多額の財産を移転する方法もあります。たとえば310万円の贈与を10年間、お1人のお子様に贈与する場合、各年の贈与税は20万円です。10年間贈与すると200万円の贈与税がかかりますが、3,100万円の財産を移転することができます。  この税率は、6.5%(200÷3,100)ということになりますが、相続税の税率は累進課税ですので、この贈与は場合によっては、相続税を支払うより低い税率が使えるということになり効果的な相続税対策になります。

しかしながら、注意すべき点としては、将来10年間にわたって毎年110万円贈与していくというような契約をした場合は、当該契約時に10年分の1,100万円の贈与があったものとみなされて贈与税が課税されます。これを「定期金に関する権利の評価」といって、契約時に10年分の贈与を受け取る権利を贈与したとみなされるのです。この点には注意が必要です。

また、相続開始前3年以内の贈与は、生前贈与加算と言って、相続人が被相続人から贈与によって取得した財産の価額は相続税の課税価格に加算されるのでこの点も注意する必要があります。

令和2年10月5日(月)

公認会計士

小林茂夫

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